＜まずは、ローヌ・アルプ地方について＞

フランス南東部、プロヴァンスまで続く平野と、その東側のアルプス山脈でスイス、イタリアと国境を接している地域を、ローヌ・アルプといいます。ローヌはこの地方を流れる大きな川の名前。この地に豊かな恵をもたらしてきました。ローヌ川とその支流であるソーヌ川が交わる地点が、この地方の中心地であり、パリに次ぐ大都市のリヨン。歴史はローマ時代にまでさかのぼることができます。過去は織物工業で栄え、現在では金融・商業の中心地となっています。また、美食の街としても有名。美味しい物がた〜〜っくさんあります。ツール・ド・フランスのスポンサーであるクレディ・リヨネは、ここの街の銀行。旧市街は古い美しい街並みが残り、新市街は住宅・商業地になっています。美術館、博物館も数多く、映画を初めて作ったのは、この街に生まれたリュミエール兄弟でした。映画博物館もありますから、いろんな趣味の人が楽しめる街といえるでしょう。

＜2004.04.12＞

　朝、関西空港を旅立ち、JALにてパリへ向かう。シャルル・ド・ゴール空港から、フランスの新幹線TGVに乗って、一路ローヌ・アルプ地方の中心地リヨンへ。所要時間は2時間ほど。南に向かうTGVはパリに出なくとも、シャルル・ド・ゴール空港から乗れるようになっている。今回は、リヨンで5泊する予定だ。
　10年ほど前に、リヨンに泊まったことがあった。ブルゴーニュ地方にワインを5日間ほど飲みにいった（！）帰りに、パリに行く途中で立ち寄ったのである。その時は1泊しかできず、見られない観光名所も多かったので、今回はリヨンを存分に堪能しようという計画なのだ。
　宿泊ホテルは、TGVのリヨン・パール・デュー駅のすぐそば。前回も同じホテルに宿泊している。徒歩で5分ほどだったので、非常に便利だと思って予約したのだが……。
　リヨンの街は、すっかり変わっていた！　当たり前だわな〜、来たのは10年以上も前だったのだから。駅前には大きなショッピング・センターが出来ていて、大型郊外型スーパーマーケットのカルフールが入っている。ホテルはリヨン市では一番高い建物なので、見えることは見えるのだが、なかなかたどり着けない。ショッピング・センターが邪魔しているのだ。横切らなければならないのに、定休日なのか入口やエスカレーター、エレベーターがみんな閉ざされている。
　結局、大きなスーツケースを引きずりながら、うろうろうろうろ……。警官に道を聞き、リヨン市内を走っている小型電車トラムの線路を横切り、ようやくホテルにチェックインできた。駅についた時はまだ明るかったのに、ホテルに入った時にはすっかり暗くなっていた。とほほほ……。

＜2004.04.13＞

　午前中は、旧市街の見物に過ごす。旧市街は、細い石畳の道が入り組み、建物の回廊や中庭を通る迷路のような抜け道が多い美しい街並みだ。今回は、前回の訪問では行くことのできなかったリヨン市街が一望できるというフルヴィエールの丘に、登るつもりだった。丘まではケーブルカーが走っているので、それに乗ることにする。まずは、古代ローマ時代の遺跡である劇場跡を見に行くつもりだったのだが……。
　ケーブルカーの乗り場所がわからない！　歩けど歩けど、見つからない！　仕方がないので地元の人に道を聞くと、「ケーブルカーの乗り場は、ここから5分ほど先。でも、フルヴィエールの丘に行くのも、あの階段を上って5分ほどだよん。もっともあの階段、すっごく大変だけどね」とのことだった。確かに、すごい階段が続いている。こ、ここは四国の金比羅さんかい？！（いや、私は金比羅さんには行ったことがないのですが）と思いながらも、結局、同じ5分なら、ということで長い階段を上ることにする。ふ〜〜〜〜〜っ。
　丘に着いてわかったことだが、ローマ劇場（まるで殺人が起こりそうなネーミング）に行くケーブルカーは、この週の土曜日まで運休していた。結果的には、徒歩で登って正解だったわけだ。
　丘の上からはリヨン市がよく見える。ローマ劇場跡をうろうろし、古代の岩に座って足を休め、丘のもう一つの名所フルヴィエール教会へと、やはり10分ほどの道程を徒歩で向かう。ふ〜〜〜〜〜〜っ。
　フルヴィエール教会はステンドグラスが美しい教会で、意外に新しい感じがした。それもそのはず、1872年にリヨン市民の寄付で建てられた教会らしい。教会を見物し、ここからは運行していたケーブルカーで旧市街に戻る。
　ところで、私は乗り物が大好きで、今回はこのケーブルカーにぜひ乗りたいと思っていたのだが……。
　実際は、そんなに眺めのいいものじゃなかったのよぅ。どちらかというと、谷を切り開いて作られたって感じね。地下を走ってるって感じだったわね。想像していたのとはちょっと違っていた。
　お昼を食べて、午後は街の散策に費やす。何をしたかというと、絵葉書を買って、そこに写っている建物の騙し絵探しなのですよ。実はリヨンの街は、壁面全部に絵が描かれている建物が、かなりの数あるのです。それが階段だったり窓だったりして、まるで騙し絵のようになっているのだ。1988年に、このあたりを遺産価値として残そうということから、住民の考えで壁画を描くことに決定したのだとか。人が住んでいる建物の壁面が、すべて壁画になっていたりする。
　前回訪れた時よりも、壁画はずっと増えているようだった。絵葉書を持って、めぼしい騙し絵壁画を探し歩いては、感心する。
　1つ、どうしても見たい騙し絵壁画があった。その建物のある場所がわからない。絵葉書を買った店の従業員も、よくわからない様子。公園で孫を遊ばせている風情のおじ様に聞いて、ようやく位置がわかった。「かなり遠いよ。トラムに乗って、市役所前でケーブルカーに乗って、行ったほうがいいよ」とのことだった。また、ケーブルカーなの？！　しかし、地図を見ても、どうもケーブルカーは走っていない。おじ様が教えてくれた路線番号も、地下鉄の路線みたいだ。取りあえず言われた通りに乗ってみると……。
　地下鉄ではあるけれど、電車はすごい坂道を上っていった。駅も、坂の途中にある階段駅である。こりゃ、地元の人がケーブルカーと言うのもわかります。
　ようやく到着し、階段の絵が描かれたすごい騙し絵壁画を見て、やはり感心する。これが一番大きな壁画だとか。別ページに写真を載せましたから、驚いてくださいませ。
＜本日手に入れたのは、ベティ・ブープのライター2つ、ボールペン2本、財布1つ、キーホルダー1つ、レター・セット1組。う〜ん、フランスでベティ・グッズを買うことになるとは、思ってもみなかった。旧市街には、キャラクター・グッズのお土産物屋さんが何軒かあった。前回の旅行ではまったくなかったのに。スパイダーマンなどのアメコミ・ヒーローを始めとして、カリメロ、キティちゃん、ガンダム、ぺこちゃん（！）などの日本発キャラクター・グッズや、フィギュアが多数販売されていた。ちょっと驚きだ。ここは京都の嵐山かい？！（嵐山に行ったことのある人はわかるでしょうが……）＞