＜はじめに＞

　フランスが好きだ。だって、ワインが美味しいも〜〜ん！！　料理が美味しいも〜〜ん！！
　ほとんどそれだけの理由なのだが、何度かフランスを旅している。だが、ルーブル美術館やオルセー美術館には、まだ行ったことがない。ルイ・ヴィトンやエルメスの店にも、入ったことはない……それどころか、どこにあるのかさえ知らない。芸術にもブランドにもまったく縁がなく、ただ、地方をうろうろして、美味しいワインを飲んで、美味しい料理を食べるのが好きなのだ。
　というわけで、今回の旅行も、やはり芸術にもブランドにも関係なく、中部から南フランスをうろうろとしてきました。ローヌ・アルプの中心地リヨンを拠点に、あちらこちらをうろうろ、法皇庁のある南仏アビニョンを拠点に、地中海へとうろうろ。
　わたしが行きたいところというのは、日本からのパッケージ旅行には含まれていない場合が多い。というか、ほとんどがそうだ。考えてみれば、山城・蟹満寺の仏像を見に行くツアーとか、堺・木造灯台を見に行くツアーとか、日本に来る海外旅行客にだって、そんなマイナー・ツアーがあるわけないだろう。フランスでわたしが行きたいところは、そんな場所なのだ。必然的に、個人旅行で行くことになる。不便で本数の少ない列車を使って、あるいはバスで。
　今回は、運転手（夫！）がいましたから、レンタカーで巡ってきました。時間的なロスが少なかった上に、晴天にずっと恵まれた旅でした。はてさて、どちらの日頃の行いが良かったのか……？
　2週間の旅程でしたが、携帯電話は番号を変えずに持参し、重いパソコンも運び、ホテルでネット・アクセスをしながらの旅だったので、仕事に支障を来すことがほとんどありませんでした。情報があっという間に世界に広がる現代、急速に狭くなり、一つになりつつある部分があることを、身をもって感じました。
　そしてこれも、世界がネットで狭くなったおかげか、フランスの日本に対する理解が、以前よりずっと深まっているように思います。もう日本は、フジヤマ、スシ、ソニー、ポケモンだけの国ではありません、キティちゃんの国でもあります（笑）。
　とはいえ、やはり相変わらず、ドタバタ珍道中の旅となりましたので、南仏旅行記、お楽しみいただけましたら幸いです。個人で旅行を考えていらっしゃる方の参考にでもなればと思いますが……まあ、あんまり期待しないでね。